技術によって広がる豊かな世界に魅せられ、注ぎ飲むものは格別な味わいとなる切子。
繊細な柄を連続して刻む難しさ、技術継承されている数の少なさもあり、いま手にするだけでも尊さを感じる日本のものづくりの一つです。
また、息をするように日々作り続けた職人の努力の結晶がこの絵柄になっているのだと思うと、ガラス製品に体温のような温もりを感じ、貴重になっていくものづくりに歩み寄り、大事にしたいと思わずにはいられません。
職人の手仕事によって生み出される繊細な文様と、光の反射によって増す輝きで見るものを魅了する江戸切子。
明治時代、殖産興業政策の一環として国をあげての取り組みが始まったことで発展を遂げた江戸切子は、大正から昭和初期にかけては食器だけでなく日用品や照明にも用いられるようになり、高級品として一大隆盛期を迎えました。
その後、カットグラス加工の機械化・量産化が進んだことで衰退の危機に陥りますが、そうした中でも伝統は絶えることなく現代まで職人によって受け継がれています。
今回ご紹介する、木本硝子(キモ.