PROJECT: Bic-Saving / Rebuild Logs
Googleにすべてを奪われた男の
「再構築」ログ
2008年、なべ塾開校と「ゆこゆこ」の500円
"公立中学校の臨時教諭を辞めた後、私は自宅兼店舗の2階で渡辺学習塾を開始した。当時、静かな教室の片隅で回していたのは、1件500円の報酬を積み上げるための『システム』だった。"
1. 15人の生徒と、深夜のモニター光
塾のスタート時の生徒数は15人ほど。教壇に立ち、子供たちに数学や理科を教える傍ら、私の意識の半分は常にパソコンに向いていました。大学時代、卒業論文で「自然言語処理」を専攻していた私にとって、テキストデータを解析し、構造化することは、もはや本能に近い趣味だったのです。
Background
公立中学の臨時教諭から個人塾経営へ。この転身が、時間的な自由と「技術を収益に変える」ための実験場を私に与えてくれました。
2. 「ゆこゆこネット」という名のデータベース
当時のアフィリエイトは今よりもずっとデータドリブンな側面がありました。目をつけたのは温泉予約サイト「ゆこゆこネット」。 1件の成約報酬はわずか500円。しかし、リンクシェアが提供する膨大なホテル情報のCSVファイルを見た瞬間、私にはそれが「お宝の山」に見えました。
The Logic of 500 Yen
数十件の予約を待つのではない。数千件、数万件の宿泊施設ページを生成し、インターネットの海に網を張る。1件500円の報酬を、システムの力で月200万へと昇華させる戦いが始まりました。
3. CSVTOHTML:原始的なSSGの衝撃
「CSVTOHTML」というソフトを覚えているでしょうか。リンクシェアから落としたCSVを読み込み、静的HTMLを叩き出す。今のNext.jsでいうところのSSG(Static Site Generation)の原型とも言える手法です。 深夜、塾の授業案を作る手を止め、MT(Movable Type)の再構築ボタンを押し、大量のファイルをサーバーへデプロイする。その瞬間に感じる「仕組みが動いている感覚」こそが、現在の Bic-Saving の思想へと繋がっています。
- DATA_SOURCE: Linkshare_CSV
- CONVERSION_TOOL: CSVTOHTML
- PLATFORM: Movable Type
- TRANSFER: FTP (Binary Mode)
4. 「.html」という名の絶対的な資産
今でこそ App Router だ Hydration だと騒がしいですが、当時は .html という拡張子が世界のすべてでした。 CSVTOHTML が書き出すのは、サーバーに置けばそのまま表示される完成されたファイル。 1枚1枚は単純な構造でしたが、それが数万枚重なったとき、Google の検索結果を占拠する「巨大な壁」へと変貌しました。
Then: 2008 (Static)
- - File: index.html
- - Style: inline / table layout
- - Logic: CSV-to-Static-HTML
- - Deploy: FTP Upload (Long wait)
Now: 2026 (Modern)
- - File: page.tsx (Next.js)
- - Style: Tailwind CSS
- - Logic: React / Server Components
- - Deploy: Vercel / Docker (CI/CD)
塾の授業が終わる22時。そこから翌朝まで、静まり返った教室内でPCだけが熱を帯び、数千のHTMLを生成し続けていた。 「なべ塾」というリアルの教育現場と、「HTML量産」というバーチャルな錬金術。 その二足の草鞋が、私のエンジニアとしてのキャリアを決定づけたのです。